TOPコラム免疫療法と再生医療の違いとは?重なる部分と分かれる部分を解説

免疫療法と再生医療の違いとは?重なる部分と分かれる部分を解説

免疫療法と再生医療は、どちらもがんの治療を調べていると並んで出てくる言葉です。似た文脈で使われるため、どちらを選ぶべきかという問いを立てたくなるかもしれません。

ただ、この2つは並べて選ぶ選択肢ではありません。分類している軸がそもそも違うからです。免疫療法は何を狙う治療かという目的による呼び方で、再生医療は何を使う治療かという手段と制度による呼び方になります。軸が違うので、重なる治療もあれば、片方にしか入らない治療もあるのです。

この記事では、2つの言葉がどこで重なりどこで分かれるのかを整理し、実際に治療を検討するときに何を確かめればよいのか解説します。言葉の整理そのものが判断材料になりますので、順に読み進めてください。

この記事の監修者

Riyoメディカルクリニック 院長 上利理代

上利 理代(あがり まさよ)

Riyoメディカルクリニック 院長
再生医療医/統合医療医/放射線治療専門医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター

高知医科大学(現・高知大学医学部)を卒業後、岡山大学放射線科に入局。放射線治療専門医として、がん治療の臨床に長年携わる。在宅医療・統合医療の現場を経て、発症を未然に防ぐ医療の実現を目指し、2022年7月にRiyoメディカルクリニックを開院。「病気を診るだけでなく患者様を診る」という姿勢のもと、幹細胞治療、高活性化NK細胞療法、エクソソーム(幹細胞培養上清液)を統合的に組み合わせた診療を提供している。

 

2つの言葉は分類の軸が違う

まず、それぞれの言葉が何を指しているのかを確かめましょう。

国立がん研究センター がん情報サービスが示しているのは、効果が科学的に証明された免疫療法と、証明されていない免疫療法という区分です。証明された側で使われる主な薬は免疫チェックポイント阻害薬で、これらは公的医療保険で受けられます。つまり免疫療法という言葉は、免疫の力を使ってがんに対処するという目的でくくられた呼び方で、薬も細胞も含まれるのです。

一方の再生医療について、日本再生医療学会が運営する再生医療ポータルは「機能障害や機能不全に陥った生体組織・臓器に対して、細胞や人工的な材料を積極的に利用して、損なわれた機能の再生をはかるもの」と説明しています。こちらは何を使うかで決まる呼び方なのです。狙う病気ではなく、用いる手段のほうを見た言葉だと考えてください。

目的で分けた言葉と、手段で分けた言葉を並べても、どちらが上位という関係にはなりません。同じ治療が両方の呼び名を持つことも起こります。

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第3種再生医療の中に免疫療法と重なる部分がある

2つの言葉が重なるのは、再生医療の区分のうち第3種に分類される免疫細胞療法の部分です。

免疫細胞療法は、患者自身の血液から免疫細胞を取り出し、体外で培養して数や働きを高めてから体に戻す治療です。免疫の力でがんに対処することを狙っているので、まず免疫療法にあたります。そのうえで、細胞を体外で加工する工程を含むため、再生医療等安全性確保法の対象にもなるのです。医療機関で患者自身の免疫細胞を加工して行う治療の多くは、この法律の区分のうち第3種に分類されています。当クリニックの高活性化NK細胞療法も、第3種再生医療として提供計画が受理された免疫療法です。

一方で、免疫療法のすべてが再生医療に入るわけではありません。免疫チェックポイント阻害薬は薬として承認され、公的医療保険で使われている免疫療法です。細胞を取り出して加工する工程を含まないため、再生医療等安全性確保法の対象にはならないのです。

再生医療の側から見ても、すべてが免疫療法と重なるわけではありません。幹細胞治療は細胞を用いて組織の機能の回復をはかる治療で、当クリニックでは第2種再生医療として提供しています。免疫の力でがんを攻撃することを狙ったものではないため、免疫療法にはあたらないのです。

整理すると、免疫療法と再生医療は二者択一の関係ではありません。細胞を加工する免疫療法が第3種再生医療のなかに入っている、という重なり方を押さえておくと理解しやすいでしょう。

再生医療について詳しくはこちら

 

法律の対象かどうかで手続きが変わる

重なるかどうかは、言葉の遊びではありません。法律上の扱いそのものが変わってきます。

細胞を加工して人に用いる医療技術は、薬機法で承認された再生医療等製品を使う場合を除き、再生医療等安全性確保法の対象です。厚生労働省は、再生医療等提供計画を提出せずに再生医療等の提供を行った場合には法にもとづく罰則が適用されると示しています。届け出をしないまま提供することは、日本では法に触れる行為なのです。

技術は想定されるリスクに応じて第1種から第3種までに分けられ、手続きの重さが変わります。第1種と第2種は特定認定再生医療等委員会、第3種は認定再生医療等委員会の審査を経たうえで、提供計画を厚生労働大臣に提出する仕組みです。第1種はさらに、提出から90日間は治療を提供できない期間が設けられているのです。高活性化NK細胞療法は、このうち第3種にあたります。

なお、法律が対象とする範囲は固定されていません。厚生労働省の再生・細胞医療・遺伝子治療についてによれば、令和7年5月31日の改正で、細胞加工物を用いない遺伝子治療などが新たに法の対象へ加わりました。制度の範囲は動きますので、古い解説記事の記述をそのまま信じないでください。

 

同じ細胞でも使い方で区分が変わる

区分は細胞の種類だけで決まるわけではありません。ここは誤解されやすい部分です。

厚生労働省の資料には、相同利用という考え方の例が置かれています。脂肪組織から分離した幹細胞を、乳がんの術後に乳房の再建を目的として患部へ投与する場合は相同利用にあたりますが、同じ幹細胞を糖尿病の治療目的で経静脈投与する場合は該当しないという説明です。取り出した細胞が同じでも、どこにどんな目的で使うかで扱いは変わってきます。

このことは、免疫療法と再生医療の関係を考えるうえでも効いてくるでしょう。使う細胞が免疫細胞だから自動的にこの区分になる、という単純な対応ではないからです。ある治療がどの区分で届け出られているかは、その医療機関の提供計画を見なければ分からないのです。

だからこそ、治療を検討するときに聞くべきことは「これは免疫療法ですか、再生医療ですか」ではありません。「どの区分で提供計画が受理されていますか」と尋ねるほうが、はるかに実用的な質問になります。

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名前の違いだけでは効果の裏づけにならない

ここまで整理してきましたが、言葉の分類が分かっても効果が保証されるわけではありません。この点を最後に押さえてください。

再生医療の枠組みに入っているという事実は、法律が求める手続きを踏んでいることを意味します。有効性を国が認めたという意味ではありません。区分の数字が大きいか小さいかも効果の大小とは関係がなく、想定されるリスクの高さを表しているにすぎません。

免疫療法という呼び名についても同じです。国立がん研究センターが効果の証明された免疫療法と証明されていない免疫療法を分けて示しているとおり、同じ呼び名のなかに、保険診療で受けられるものと自由診療で行われるものが混ざっています。呼び名は治療の中身を保証しません。

言葉を整理する目的は、正しい呼び方を覚えることではないでしょう。どの制度のもとで、どんな根拠にもとづいて提供されている治療なのかを、自分で確かめられるようになることにあります。

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受ける前に確かめる順番

実際に確かめるときは、順番を決めておくと迷いません。

最初に見るのは、その治療が何を使うのかという点です。薬を投与するのか、細胞を取り出して加工するのかで、以降の話が分かれます。ここが曖昧な説明しか返ってこない場合は、その時点で立ち止まってください。

細胞を加工するのであれば、承認された再生医療等製品を使う保険診療を除き、再生医療等安全性確保法の対象になります。提供計画が受理されているかどうかを確かめましょう。受理された計画には番号が付きますので、その番号が公開されているかが目安になります。

番号を確かめたら、区分と効果の証明は別の話だと切り分けてください。受理されていることは手続きを踏んだ証拠であって、有効性の承認ではありません。効果について何がどこまで確かめられているのかは、あらためて説明を求める必要があります。

日本再生医療学会の提供機関をさがすというデータベースも使えるでしょう。各医療機関が提出した再生医療等提供計画にもとづく情報で、地域や治療法から絞り込めますので、自分で調べる手段として覚えておいてください。

 

よくある質問

免疫療法と再生医療はどちらが新しい治療なのか

新しさで比べられる関係にありません。分類の軸が違うため、どちらかが後から出てきたという整理はできないのです。比べるなら、個々の治療について効果がどこまで確かめられているかを見てください。

 

高活性化NK細胞療法は免疫療法と再生医療のどちらなのか

両方にあたります。免疫の力を使うという点では免疫療法であり、免疫細胞を体外で加工して戻すという点では再生医療の枠組みに入るのです。当クリニックでは第3種再生医療として提供計画が受理されています。

 

免疫チェックポイント阻害薬は再生医療なのか

再生医療の枠組みには入りません。薬として承認されたものを投与する治療で、細胞を取り出して加工する工程がないためです。公的医療保険で受けられる免疫療法にあたります。

 

幹細胞治療は免疫療法なのか

免疫療法ではありません。細胞を用いて機能の回復をはかる治療で、免疫でがんを攻撃することを狙ったものではないのです。当クリニックの幹細胞治療は第2種にあたります。

 

第3種というのは効果が低いという意味なのか

違います。区分は想定されるリスクの高さによる分類で、効果の大小を表すものではありません。体細胞を用いるなど、想定されるリスクが相対的に低い技術が第3種という整理になります。

 

提供計画が受理されているかは自分で調べられるのか

調べられます。日本再生医療学会の再生医療ポータルには提供機関を検索できるデータベースがあり、各医療機関が提出した再生医療等提供計画にもとづく情報を地域や治療法から絞り込めるのです。

 

免疫療法と再生医療のご相談はRiyoメディカルクリニックへ

当クリニックは、厚生労働省に第2種再生医療(幹細胞治療)および第3種再生医療(高活性化NK細胞療法/計画番号:PC5240046)の提供計画が受理された医療機関です。院内にはCPC(細胞培養加工施設)があり、施設番号はFC5240026になります。細胞の採取から培養、品質検査、投与までを院内で一貫して管理する体制を整えており、培養は専門臨床培養士が担当しているのです。

この記事の整理でいえば、第3種再生医療として提供している高活性化NK細胞療法は免疫療法と重なる治療で、第2種再生医療として提供している幹細胞治療は免疫療法にはあたらない治療です。どちらが向いているかは状態によって変わりますので、カウンセリングでご相談ください。

院長の上利 理代(あがり まさよ)は、放射線治療専門医としてがん治療の臨床に長年携わった医師です。標準治療と自由診療の両方を見てきた立場から、期待できることと難しいことの両方をお伝えします。

立地はJR東西線の北新地駅の東出口からすぐ、JR大阪駅から徒歩約5分の大阪駅前第2ビル2階です。診療は火曜・水曜・金曜・土曜の10時から17時まで、第1・第3・第5月曜は10時から16時までとなります。完全予約制ですので、電話またはWeb予約でお申し込みください。

WEB予約はこちらから

 

参考文献

1. 国立がん研究センター がん情報サービス「免疫療法 もっと詳しく」
https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/immunotherapy/immu02.html

2. 日本再生医療学会「再生医療ポータル」再生医療について
https://saiseiiryo.jp/about/

3. 日本再生医療学会「再生医療ポータル」提供機関をさがす
https://saiseiiryo.jp/search/

4. 厚生労働省「再生医療等提供計画の提出等について(概要)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/plan.html

5. 厚生労働省「再生・細胞医療・遺伝子治療について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/index.html

 

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