免疫療法と標準治療の違いとは?効果の出方と位置づけを正しく理解する
がんの治療を調べていくと、「標準治療」と「免疫療法」という言葉に必ず出合います。「手術や薬物治療を勧められたものの、免疫療法という選択肢も気になっている」といった方にとって、両者が何をどう違えているのかは、治療を考えるうえで欠かせない知識でしょう。
ここで誤解されやすいのが、「標準治療より免疫療法のほうが新しくて優れている」という捉え方です。標準治療の「標準」は、決して「ありふれた」「平均的な」という意味ではありません。多くの臨床試験を経て、現時点で最も効果と安全性の根拠が確立された治療を指す言葉なのです。
本記事では、免疫療法と標準治療が「治療の標的」「効果の出方」「位置づけ」の観点でどう異なるのかを整理し、両者をどう組み合わせて考えればよいのかをお伝えします。
標準治療とは何かを正しく押さえる
まず、標準治療という言葉の意味を正確に理解しておきましょう。標準治療とは、科学的な根拠に基づき、現在利用できる最良の治療として専門家に推奨されている治療のことを指します。
国立がん研究センターのがん情報サービスでも、標準治療は「科学的根拠に基づいた観点で、現在利用できる最良の治療であることが示され、ある状態の一般的な患者さんに行われることが推奨される治療」と説明されています(出典:国立がん研究センター がん情報サービス)。
がんの標準治療は、大きく三つの柱で構成されています。一つ目が、がんを物理的に取り除く手術、二つ目が、薬剤を用いてがん細胞の増殖を抑える薬物治療、そして三つ目が、放射線を照射してがん細胞を攻撃する放射線治療です。これらは長年にわたる研究と実績の積み重ねによって、効果と安全性が裏づけられてきました。
ここで強調しておきたいのは、標準治療は「最低限の治療」ではないという点でしょう。むしろ、その時点で科学が到達した最良の選択肢として位置づけられるものです。免疫療法を検討する際にも、この標準治療を土台として考える視点が欠かせません。
免疫療法と標準治療は「治療の標的」が異なる

免疫療法と標準治療の最も根本的な違いは、何を標的にして治療するのかという点にあります。
手術はがんという病巣そのものを物理的に切除し、放射線治療は照射した部位のがん細胞を直接攻撃し、薬物治療は薬剤によってがん細胞の増殖を抑え込みます。いずれも「がん細胞そのもの」を標的とする治療だと言えるでしょう。
一方、免疫療法が標的とするのは、がん細胞ではなく患者自身の免疫システムです。私たちの体に備わった免疫の力を引き出し、その免疫ががんを攻撃する状態をつくり出します。つまり、攻撃の主役が薬や放射線ではなく、自分自身の免疫細胞であるという点に、免疫療法ならではの特徴があります。
この違いは、たとえるなら「敵を直接叩く」のか「味方の戦力を強化する」のかという発想の差に近いものでしょう。標準治療ががんを直接的に減らす治療だとすれば、免疫療法は体の防御システムを立て直すことで、間接的にがんへ対抗しようとする治療だと整理できます。
効果の「出方」と「持続性」が異なる

治療の標的が違えば、効果の現れ方も自然と変わってきます。ここは、免疫療法を理解するうえで特に重要なポイントでしょう。
標準治療、とりわけ薬物治療や放射線治療は、比較的速やかに効果が現れる傾向があります。がん細胞を直接攻撃するため、治療への反応が画像検査などで早期に確認できる場合も少なくありません。即効性という観点では、標準治療に分があると言えます。
これに対して免疫療法は、効果が現れるまでに時間を要することが一般的でしょう。免疫細胞が活性化し、がんを攻撃できる状態が整うまでに、一定の準備期間が必要だからです。すぐに結果が見えないからといって効いていないとは限らない点が、患者にとっては理解しづらいところかもしれません。
ただし、いったん免疫が働き始めると、その効果は長く続くこともあるでしょう。免疫には一度認識した相手を記憶する仕組みがあるため、治療後も体内でがんを監視し続ける働きが期待されるのです。即効性では標準治療、持続性では免疫療法という対比は、両者の性格をよく表しているでしょう。
副作用の「性質」が異なる
副作用についても、両者には見過ごせない違いがあります。
薬物治療は、増殖の速い細胞を攻撃するという性質上、がん細胞だけでなく毛根や消化管、骨髄といった正常な細胞にも影響を及ぼし、脱毛や吐き気、白血球の減少といった全身性の副作用が起こりやすくなります。
免疫療法の副作用は、これとは異なる性質を持つと考えられるでしょう。保険適用の免疫チェックポイント阻害薬では、免疫のブレーキを外すことで、まれに自分自身の正常な臓器を免疫が攻撃してしまう免疫関連有害事象が起こり得ます。皮膚や肺、消化管、内分泌系など、全身のさまざまな部位に現れる可能性があるため、早期の発見と対応が欠かせません。
自由診療として行われる免疫細胞療法の場合は、自己の細胞を用いるため全身性の副作用は比較的少ない傾向にあります。それでも、点滴投与に伴う発熱やアレルギー反応などのリスクはゼロではありません。「副作用が少ない」という言葉を「副作用がない」と取り違えないことが大切でしょう。
保険適用の免疫療法と自由診療の免疫療法を区別する

免疫療法という言葉が混乱を招きやすいのは、保険適用のものと自由診療のものが同じ呼び名で語られるからでしょう。両者は性質が大きく異なるため、分けて理解しておく必要があります。
保険適用の免疫療法の代表が免疫チェックポイント阻害薬であり、がん細胞が免疫にかけている「攻撃するな」というブレーキを解除し、免疫本来の力を取り戻させる薬剤として、すでに多くのがん種で標準治療の一部に組み込まれています。効果と安全性が臨床試験で検証されている点が、大きな特徴でしょう。
一方、自由診療として提供される免疫細胞療法には、高活性化NK細胞療法や樹状細胞ワクチン療法などがあります。患者自身の免疫細胞を体外で増やし、活性化させて体内に戻すというアプローチを取るものでしょう。国立がん研究センターのがん情報サービスは、これら自由診療の免疫療法について「効果が証明されていない免疫療法」と位置づけ、慎重な確認を促しています(出典:国立がん研究センター がん情報サービス)。
つまり、ひとくちに免疫療法と言っても、標準治療の一部として確立されたものと、検証の途上にあるものが混在しているわけです。検討する際は、自分が向き合っている免疫療法がどちらに当たるのかを、まず確認してください。
免疫療法は標準治療を「置き換える」ものではない

ここまでの違いを踏まえると、ひとつの結論が見えてくるでしょう。免疫療法は、標準治療を置き換えるための治療ではないということです。
ときに「標準治療をやめて免疫療法に切り替えたい」と考える方がいらっしゃいます。その気持ちは理解できるものの、確立された標準治療を自己判断で中断することには大きなリスクが伴うでしょう。免疫療法、とりわけ自由診療のものは、標準治療に代わるだけの有効性が証明されているわけではないからです。
むしろ近年注目されているのは、標準治療と免疫療法を組み合わせるという発想でしょう。免疫チェックポイント阻害薬を薬物治療と併用することで治療成績が向上した例は、複数のがん種で報告されています。手術や放射線治療で主たる病巣に対処しながら、免疫療法で体の防御力を底上げするという考え方は、治療を多面的に捉える視点だと言えるでしょう。
Riyoメディカルクリニックでも、高活性化NK細胞療法の期待される効果として、薬物治療や放射線治療との併用による相加・相乗効果や、手術前後の体力や免疫力の回復を挙げています。免疫療法を標準治療の「敵」ではなく「補完役」として位置づける姿勢が、治療の土台にあると言えるでしょう。
治療を選ぶときに意識したい考え方
最後に、免疫療法と標準治療をどう考えればよいのか、判断のための視点を整理しておきましょう。
まず大切なのは、主治医とよく話し合うことです。免疫療法に関心があるなら、その意思を主治医に率直に伝え、現在の標準治療との関係をどう整理すべきか相談してみてください。免疫療法を提供する医師に対しては、治療の効果や副作用、費用について具体的に質問することが推奨されています。
次に意識したいのは、「標準治療か免疫療法か」という二者択一で考えないという姿勢でしょう。実際の治療では、両者を組み合わせたり、時期をずらして用いたりと、柔軟な戦略が取られることが少なくありません。どちらか一方に絞る発想ではなく、自分の病状と目的に照らして最適な組み合わせを探すことが、後悔のない選択につながります。
そして、免疫療法を検討する際は、その治療が標準治療の一部なのか、自由診療なのかを必ず確認してください。費用やエビデンスの水準が大きく異なるため、この区別を曖昧にしたまま治療を決めるのは避けたいところです。
免疫療法と標準治療についてはRiyoメディカルクリニックへ
「免疫療法と標準治療をどう組み合わせればよいのか」「自分の状態に免疫療法が合うのか知りたい」とお考えの方は、大阪・梅田のRiyoメディカルクリニックにご相談ください。
当クリニックは、厚生労働省に第2種再生医療(幹細胞治療)および第3種再生医療(高活性化NK細胞療法/計画番号:PC5240046)の提供計画が受理された医療機関であり、院内にCPC(細胞培養加工施設)を完備し、細胞の採取から培養、品質検査、投与までの全工程を院内で一貫して管理する体制を整えております。
院長の上利理代は、放射線治療専門医としてがん治療の臨床に長年携わってきました。再生医療医・統合医療医として、幹細胞治療、高活性化NK細胞療法、エクソソーム(幹細胞培養上清液)を統合的に組み合わせた診療を提供しています。カウンセリングでは、標準治療との関係を踏まえながら、期待できる効果とリスクの両面を丁寧にご説明いたしますので、どうぞ安心してお越しください。
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