免疫療法の副作用とは?種類ごとのリスクと対処の考え方
免疫療法を検討する際、「副作用が少ない治療」というイメージを持つ方は多くいるでしょう。
たしかに従来の薬物治療で見られる脱毛や激しい吐き気といった副作用は起こりにくい傾向にありますが、免疫療法には免疫療法特有のリスクが存在します。
そしてそのリスクの性質は、保険適用の免疫チェックポイント阻害薬と、自由診療のNK細胞療法などの免疫細胞療法とでは大きく異なるものです。
国立がん研究センターのがん情報サービスでは、免疫療法について「全身にさまざまな副作用が起こる可能性があります。
また、個人差が大きく、いつ、どんな副作用が起こるか予測がつかないため注意が必要です」と明記しています(出典:国立がん研究センター がん情報サービス)。
「副作用が少ない」と「副作用がない」はまったく異なる認識です。
本記事では、免疫療法の種類ごとに副作用の仕組みと特徴を整理し、治療前に押さえておくべき知識と、副作用が生じた際の対処の考え方をお伝えします。
免疫チェックポイント阻害薬の副作用(irAE)とは

保険適用のがん免疫療法の中核を担う免疫チェックポイント阻害薬には、従来の薬物治療とはまったく異なるメカニズムの副作用が存在します。
「免疫関連有害事象」(irAE:immune-related Adverse Events)と呼ばれるこの副作用を正確に理解しておくことは、治療を受けるうえで欠かせない前提知識となります。
なぜirAEが起こるのか
免疫チェックポイント阻害薬は、がん細胞がT細胞にかけている「がん細胞など異常細胞を攻撃するな」というブレーキを解除する薬剤です。
ブレーキが外れたT細胞はがん細胞を攻撃できるようになりますが、同時に免疫の歯止めが緩くなることで、正常な臓器や組織に対しても免疫が過剰に反応してしまうリスクが生じます。
つまり、irAEは薬剤が直接臓器を傷つけるのではなく、免疫のブレーキを外した結果として自分自身の免疫が正常な組織を攻撃してしまうという、自己免疫反応に近い現象です。
従来の薬物治療の副作用(がん細胞だけでなく正常な増殖細胞にもダメージを与える)とは根本的に発生メカニズムが異なる点が、免疫療法の副作用を理解するうえで最も重要なポイントと言えるでしょう。
irAEが起こり得る臓器と主な症状
irAEの大きな特徴は、全身のあらゆる臓器に影響が及ぶ可能性がある点にあります。
東京都立駒込病院の情報によると、主な発現部位と症状は以下のように報告されています(出典:東京都立駒込病院)。
皮膚に現れる場合は、発疹やかゆみ、白斑(皮膚の色素が抜ける症状)などが見られます。皮膚障害は比較的早期に出現しやすく、免疫チェックポイント阻害薬の副作用の中では頻度が高い部類に入ります。
肺に影響が及ぶと、間質性肺炎を発症するケースがあります。咳、息切れ、発熱といった症状が現れた場合は速やかに担当医への相談が必要です。
間質性肺炎はirAEの中でも重篤化しやすい副作用の一つであり、早期発見が治療の鍵を握ります。消化管への影響としては、大腸炎による下痢や腹痛が挙げられます。軽度であれば対症療法で管理可能なケースもありますが、重度の場合はステロイド剤による治療が必要となる場合もあるのです。
内分泌系への影響も特徴的です。甲状腺機能の亢進や低下、下垂体機能低下症、副腎機能障害、そして劇症1型糖尿病といった内分泌障害が報告されています。甲状腺機能障害は比較的頻度が高く、疲れやすさ、体重変化、動悸といった症状で気づかれることがあります。
そのほか、肝機能障害、腎障害、神経障害(重症筋無力症など)、眼障害(ぶどう膜炎)なども報告されています。
irAEの出現時期が予測しにくい
irAEのもう一つの難しさは、副作用の出現時期を正確に予測できない点にあります。
投与開始から数週間以内に現れるケースもあれば、治療終了後数か月が経過してから発症するケースも報告されています。
ここで知っておきたいのは、irAEの多くは早期に発見し適切に対処すれば管理可能であるという点です。問題は、症状が「いつもの体調不良」と区別がつきにくいことでしょう。少しの倦怠感、皮膚の変化、排便パターンの変化など、日常生活で見過ごしがちな兆候がirAEの初期症状である可能性があります。
治療中および治療後は、自分の身体の変化に敏感になり、いつもと違う症状を感じたら速やかに担当医や看護師に報告する姿勢が重要です。
irAEへの対処の原則
irAEが発生した場合、症状の重症度に応じた段階的な対処が行われます。
軽度の場合は経過観察で済むこともありますが、中等度以上ではステロイド剤の投与が第一選択となり、重症例では免疫抑制剤が用いられるケースもあります。
ここで生じる疑問が、「免疫療法で免疫を活性化させたのに、副作用対策で免疫を抑制するのは矛盾しないのか」という点でしょう。
実際にはirAEへのステロイド投与が、がんに対する免疫療法の治療効果を大きく損なわないことが複数の研究で示唆されています。
ただし、ステロイドの長期使用には別のリスクが伴うため、副作用の管理は専門的な判断が求められる領域です。
NK細胞療法をはじめとする免疫細胞療法の副作用

免疫チェックポイント阻害薬のirAEとは対照的に、NK細胞療法や樹状細胞ワクチン療法などの免疫細胞療法では、副作用の種類とリスクの程度が大きく異なります。
自己細胞を用いるため全身性の副作用は少ない
免疫細胞療法の多くは、患者自身の血液から免疫細胞を採取し、体外で培養・活性化させて体内に戻すという手法を取ります。
投与するのは「自分自身の細胞」であるため、免疫チェックポイント阻害薬のような全身性の自己免疫反応(irAE)が生じるリスクは構造的に低いと考えられているのです。
Riyoメディカルクリニックが提供する活性化NK細胞療法では、患者様の血液を50mL採血し、院内CPC(細胞培養加工施設)で熟練の臨床培養士がNK細胞を選択的に増殖・活性化させ、安全性試験を経たうえで点滴投与を行います。
NK細胞療法のページには「ご自身の細胞ですので、副作用はほとんどありません」と記載されている通り、薬剤性の副作用は起こりにくい治療法です。
投与時に起こり得る反応
ただし、「副作用がほとんどない」ことと「リスクがゼロ」であることは異なります。
NK細胞療法においても、投与時に以下のような反応が生じる可能性はゼロではありません。点滴投与時に注射部位周辺に血管痛やかゆみが生じることがあります。
また、投与後に軽度の発熱や気分不良が一時的に見られるケースが報告されています。注射部位の内出血も起こり得る反応の一つです。
Riyoメディカルクリニックの公式情報では、リスク・副作用として「注入時・注入後に注射部位周辺等に血管痛、掻痒感が生じる」「気分不良、嘔気、胃痛、胸部から直腸付近への熱感、低血圧等の可能性」「注射部位の内出血」が挙げられています。
まれに起こり得る重篤なリスク
自己細胞を用いる治療であっても、培養過程で使用する培地や試薬に対するアレルギー反応(アナフィラキシー)、そして静脈内投与に伴う塞栓症のリスクは完全には排除できません。
2025年8月に発生した自己脂肪由来幹細胞治療中の死亡事故は、自己細胞を用いた点滴投与であっても急変のリスクが存在することを示した事例です(出典:厚生労働省 報道発表)。
この事故はNK細胞療法ではなく幹細胞治療で発生したものですが、点滴投与という共通のプロセスを持つ治療として、クリニック側の緊急対応体制が問われた点は重要な教訓と言えるでしょう。
免疫チェックポイント阻害薬と免疫細胞療法の副作用を比較する

2つのタイプの免疫療法の副作用を比較すると、構造的な違いが明確に浮かび上がります。
免疫チェックポイント阻害薬は、免疫のブレーキを外すという作用機序上、自己免疫反応に似たirAEが全身のどの臓器にも起こり得ます。副作用の出現時期も予測しにくく、治療終了後にも発症する可能性があるため、長期的な経過観察が必要となります。
一方で、保険適用の治療として大規模臨床試験による安全性データが蓄積されており、副作用への対応プロトコルも標準化されている点は大きな強みです。免疫細胞療法は、自己細胞を用いるため全身性の副作用リスクは低い傾向にあります。
しかし、点滴投与に伴う急性反応のリスクはゼロではなく、また自由診療として提供されているため、クリニックごとの安全管理体制にばらつきがある点には注意が必要です。
国立がん研究センターのがん情報サービスは、自由診療の免疫細胞療法について「効果が証明されていない免疫療法」と位置づけたうえで、「副作用に十分に対応できる体制が整っていることが大切」と注意喚起しています(出典:国立がん研究センター がん情報サービス)。
副作用を防ぐためにクリニック選びで確認すべきこと

免疫療法の副作用リスクを最小限に抑えるためには、治療を受けるクリニックの安全管理体制を事前に確認することが極めて重要です。
まず確認したいのは、投与中のモニタリング体制です。点滴投与中に急変が起こった場合に備え、バイタルサインの継続的な監視、救急対応に必要な機器・薬剤の常備、そして緊急時の搬送先となる連携病院の有無は、安全なクリニックかどうかを見極める重要な指標となります。
次に、細胞の培養管理体制です。
免疫細胞療法の場合、培養過程で混入する微生物や不純物が副作用の原因となるリスクがあります。院内にCPC(細胞培養加工施設)を持ち、採取から培養、品質検査、投与まで一貫管理できるクリニックは、外部委託と比較して品質管理の透明性が高いと判断できる材料の一つです。
Riyoメディカルクリニックでは、厚生労働大臣から施設番号が付与された院内CPCを完備し、患者様のNK細胞を外部に持ち出すことなく培養から投与まで院内で一括管理する体制を整えています。
カウンセリングでは、治療の効果だけでなく起こり得る副作用やリスクについても丁寧にご説明し、投与時の対応体制についてもお伝えしています。
副作用をどう「受け止める」か

免疫療法の副作用は、治療の「失敗」を意味するわけではありません。
免疫チェックポイント阻害薬において、irAEの出現は免疫が活性化していることの裏返しであり、irAEが発現した患者のほうが治療効果が高かったとする報告も存在します。
副作用は「治療が効いている兆候」として捉えられる側面もあるのです。もちろん、だからといって副作用を軽視してよいわけではありません。重要なのは、副作用の可能性を事前に正確に理解し、発生した場合の対処法を医療チームと共有しておくことです。
家族や身近な人にも副作用の初期症状を知っておいてもらい、自分では気づきにくい体調の変化に気づいてもらえる体制を作っておくことも、実践的な備えの一つとなるでしょう。
免疫療法の副作用についてはRiyoメディカルクリニックへ
「免疫療法の副作用について詳しく知りたい」「NK細胞療法と免疫チェックポイント阻害薬のリスクの違いを理解したい」とお考えの方は、大阪・梅田のRiyoメディカルクリニックにぜひご相談ください。
当クリニックでは、厚生労働省に再生医療等提供計画が受理された「悪性腫瘍に対するNK細胞療法」(計画番号:PC5240046)を提供しています。
院内にCPC(細胞培養加工施設)を完備し、患者様のNK細胞を厳格な管理下で熟練の臨床培養士が増殖・活性化させる体制を整えています。
院長の上利理代は放射線治療専門医としてがん治療に長年携わった経験を持ち、再生医療医・統合医療医としてNK細胞療法、幹細胞治療、エクソソーム療法を統合的に組み合わせた診療を提供しています。
カウンセリングでは、治療効果だけでなく副作用やリスクの両面を丁寧にご説明いたします。
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