幹細胞治療の費用はなぜ幅が大きいのか?相場を読むときの注意点
幹細胞治療の費用を調べると100万円台から400万円台まで幅のある数字が並びます。同じ治療名なのに、なぜここまで違うのでしょうか。
理由は単純で、幹細胞治療という言葉が指す範囲が広いからです。採取する組織も、投与する細胞の数も、回数も医療機関ごとに違います。さらに紛らわしいのは、名前の似た別の治療が同じ検索結果に混ざっている点です。
この記事では、費用に幅が出る仕組みを分解したうえで、相場の数字を比べるときに何をそろえて見ればよいのかを整理します。治療後も続く費用にも触れますので、総額を考える材料としてお読みください。

上利 理代(あがり まさよ)
Riyoメディカルクリニック 院長
再生医療医/統合医療医/放射線治療専門医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター
高知医科大学(現・高知大学医学部)を卒業後、岡山大学放射線科に入局。放射線治療専門医として、がん治療の臨床に長年携わる。在宅医療・統合医療の現場を経て、発症を未然に防ぐ医療の実現を目指し、2022年7月にRiyoメディカルクリニックを開院。「病気を診るだけでなく患者様を診る」という姿勢のもと、幹細胞治療、高活性化NK細胞療法、エクソソーム(幹細胞培養上清液)を統合的に組み合わせた診療を提供している。
費用に幅が出る理由は3つに分けられる

幅を生んでいるのは、採取する組織と、投与する細胞の数、そして治療の目的と回数です。この3つが違えば、同じ幹細胞治療という名前でも金額はそろいません。
まず採取する組織で手技と手順が変わります。脂肪から採る方法と骨髄から採る方法では、幹細胞採取における患者負担も、幹細胞を取り出す手間も異なるのです。医療機関がどちらを採用しているかで、初期の費用が変わります。脂肪から採る場合は、局所麻酔をしたうえで少量の脂肪組織を採取します。どちらを採用しているかは医療機関の説明資料に書かれていますから、見積もりを比べる前に確認しておきましょう。
次に注目すべきは、投与する細胞の数です。培養して増やした細胞を何個投与するのかは治療計画によって変わりますので、単純に「1回いくら」という比較では実態がつかめません。数を明示していない料金表を見かけたら、そこを尋ねてください。
3つ目は目的と回数です。関節の痛みに対して行う場合と、全身の状態を整える目的で行う場合とでは、必要な回数の考え方が変わります。回数が増えれば総額も変わるので、1回の単価だけを比べても意味が薄いのです。1回で終える場合もあれば、間隔を置いて複数回に分ける場合もあります。総額を知りたいなら、単価ではなく治療計画として聞くほうが良いでしょう。
幹細胞治療と培養上清治療は別の治療になる

検索結果で最も混同されやすいのが、幹細胞治療と幹細胞培養上清治療の区別です。名前は似ていますが、体に入れるものが違います。
幹細胞治療は、採取して培養した幹細胞そのものを投与します。一方の培養上清治療で用いるのは、幹細胞を培養する際に生じた培養液に、滅菌処理・遠心分離などの処理を施した上澄みの液体です。細胞は含まれておらず、細胞が出した成分を投与するという考え方になります。
費用の桁も変わります。Riyoメディカルクリニックでは、脂肪由来の幹細胞培養上清点滴が1ml含有で17,600円、10ml含有で158,400円です。臍帯由来であれば1ml含有で29,700円、10ml含有で267,300円です。歯髄由来のプレミアムエクソソーム(幹細胞培養上清液)点滴は、2ml含有で165,000円になります。金額はいずれもRiyoメディカルクリニックでの税込価格です。
対して自己脂肪由来幹細胞治療については、個別にご案内しております。細胞の数や回数が治療計画によって変わるためで、ここを一律の相場で示すことには無理があるのです。
つまり「幹細胞治療の相場」として並ぶ数字を見るときは、それが細胞を投与する治療の話なのか、上清液を投与する治療の話なのかを先に確かめる必要があります。桁がひとつ違う情報が同じ土俵で語られている場面は珍しくありません。
なぜ混同が起きるのでしょうか。どちらも幹細胞という言葉を含み、どちらも点滴で投与される場合が多いためです。説明を読み流すと同じ治療の話に見えてしまいます。ただし、細胞そのものを入れるのか、細胞が出した有効成分を入れるのかで、治療としての位置づけは変わるのです。
治療が終わったあとも続く費用がある

見落とされやすいのが、治療そのものではなく保管にかかる費用です。1回の投与額だけを見ていると、あとから加わる項目に気づけません。
Riyoメディカルクリニックでは自己脂肪由来幹細胞バンクの保管料としては年間22,000円を提示しています。採取した細胞を凍結して預けておくための費用で、預けている間は毎年発生します。
保管には理由があります。1回目の治療で採取した細胞を残しておけば、次に治療するときに採取からやり直さずに済むためです。当クリニックで再培養を可能としているのも、この前提があるからです。保管した細胞を必要な時にまた増やして使う道があるという意味になります。次回の採取を省ける代わりに、保管と再培養の費用がかかります。
ここから見えてくるのは、幹細胞治療の費用が単発ではなく期間で考えるものだという点になります。初回だけを見て予算を組むと、翌年以降の保管料が想定外の支出として現れてしまうのです。何年預ける見込みなのかを、最初の相談で医師に伝えておいてください。
預けるかどうかは、次の治療を考えているかで決まります。1回きりで様子を見る予定なら保管しない選択もありますし、継続を検討しているのであれば預けておくほうが手間は減るでしょう。
初診にかかる費用もお伝えしておきましょう。Riyoメディカルクリニックではカウンセリングの初診料が2,200円、セカンドオピニオン外来が60分で11,000円となっています。相談だけを目的にご受診いただくこともできます。
相場の数字を比べるときにそろえる4つの条件
相場を比較するなら、条件をそろえてから並べてください。そろっていない数字を横に置いても、高いか安いかは判断できません。
そろえたいのは、投与する細胞の数、投与の回数、採取する組織、そして金額に含まれる範囲の4つです。特に最後の範囲は医療機関によって扱いが分かれます。診察料や検査費が別立てになっている場合、表に出ている数字だけでは総額に届きません。
実際に相談に行く際には、細胞数と回数を含めた説明と提示をお願いすると良いでしょう。「1回いくらですか」ではなく「この治療計画や自分の希望する治療だと総額でいくらになりますか」と尋ねる形にすると、比較できる数字が返ってきます。
聞き方を具体的にしておくと、返ってくる答えの精度が上がるのです。投与する細胞の数、分ける回数、金額に診察料や検査費が含まれるかどうかという3点を、あらかじめ書き出して持っていくとよいでしょう。口頭のやり取りだけでは、あとで記憶が食い違うこともあります。
安いという理由だけで選ぶ判断も避けたほうが無難です。金額が低い背景に投与する細胞の数の少なさがあるなら、比べているのは同じ治療ではありません。
もうひとつ、比較する数字の時点もそろえてください。料金表は改定されることがありますので、古い記事に載っている数字と最新の料金表が食い違う場合があります。金額を確かめるときは、医療機関が示す最新の料金表を直接見るのが確実でしょう。
保険と控除の扱いは自由診療の枠で考える
幹細胞治療は自由診療にあたりますので、公的医療保険は使えません。治療費だけでなく、診察料や検査料も自己負担になります。自由診療は医療機関が金額を決める仕組みですから、同じ治療名でも医療機関ごとに差が出るのです。公定価格が定められている保険診療とは前提が違います。
医療費控除については、対象になると断定しない見方が正確です。国税庁が示す対象は「医師または歯科医師による診療または治療の対価」で、保険適用かどうかで線を引いてはいません。ただし控除の対象になるのは「その病状などに応じて一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」だという制限が置かれています。
金額が大きい治療ほど、支払った全額がそのまま認められるとは限らないという条件です。控除で戻る想定額を先に差し引いて予算を組む方法は勧められませんので、金額が決まった段階で税務署か税理士に確認してください。
よくある質問
幹細胞治療に保険は使えるのか
使えません。自由診療にあたるため、診察料や検査料も含めて全額が自己負担です。公的医療保険で受けられるのは、効果と安全性が科学的に証明された治療に限られています。
相場として示されている金額をそのまま信じてよいのか
条件をそろえないかぎり比較になりません。投与する細胞の数、回数、採取する組織、金額に含まれる範囲の4つが違えば、同じ数字でも意味が変わります。
幹細胞治療と培養上清治療はどう違うのか
体に入れるものが違います。幹細胞治療は培養した細胞そのものを投与し、培養上清治療では幹細胞を培養する際に生じた培養液に滅菌処理などを施した上澄み液を用いるのです。費用の桁も異なりますので、混同しないでください。
培養上清の費用はいくらか
Riyoメディカルクリニックでは脂肪由来が1ml含有で17,600円、臍帯由来が1ml含有で29,700円となっております。含有量によって金額が変わりますので、詳細はお問い合わせください。
治療のあとにかかる費用はあるのか
Riyoメディカルクリニックでは、自己脂肪由来幹細胞バンクの保管料として年間22,000円をいただいております。採取した細胞を預けておくための費用で、預けている期間は毎年かかる仕組みです。
医療費控除は受けられるのか
対象になる可能性はありますが、断定はできません。国税庁の要件には「一般的に支出される水準を著しく超えない部分の金額」という制限が置かれています。金額が決まってから税務署か税理士にご確認ください。
幹細胞治療のご相談はRiyoメディカルクリニックへ
当クリニックは、厚生労働省に第2種再生医療(幹細胞治療)および第3種再生医療(高活性化NK細胞療法/計画番号:PC5240046)の提供計画が受理された医療機関であり、院内にCPC(細胞培養加工施設)を完備し、細胞の採取から培養、品質検査、投与までの全工程を院内で一貫して管理する体制を整えています。院内CPCの施設番号はFC5240026です。
費用については、治療計画が決まってから内訳をお示しします。細胞の数や回数によって金額が変わりますので、カウンセリングでご希望と状態をうかがったうえでご説明する流れです。保管料のような継続してかかる費用も、その場で合わせてお伝えします。
立地はJR東西線の北新地駅の東出口からすぐ、JR大阪駅から徒歩約5分の大阪駅前第2ビル2階です。完全予約制ですので、電話またはWeb予約でお申し込みください。費用の相談だけという段階でも遠慮なくお越しください。
参考文献
1. 国税庁「No.1122 医療費控除の対象となる医療費」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1122.htm
2. 厚生労働省「再生医療等提供計画の提出等について(概要)」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/saisei_iryou/plan.html
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