再生医療の無認可治療に潜むリスクとは?安全な医療機関を見分ける判断材料
再生医療に関心を持つと、検索結果や広告で数多くのクリニックが目に入ってきます。その一方で、「再生医療で死亡事故」「無届けクリニックに業務停止命令」といった報道を見て、不安を覚えた方も多いのではないでしょうか。
実際、近年は自由診療の再生医療をめぐるトラブルが相次いで報じられています。ここで知っておきたいのは、再生医療には国が定めた厳格なルールがあり、それを守らずに行われる「無認可」「無届け」の治療には、見過ごせないリスクが潜んでいるという点です。安全に再生医療を受けるためには、適切な手続きを経た医療機関を見分ける目が欠かせません。
本記事では、再生医療における無認可治療のリスクと、その背景にある制度、そして安全な医療機関を見極めるための判断材料を整理してお伝えします。

上利 理代(あがり まさよ)
Riyoメディカルクリニック 院長
再生医療医/統合医療医/放射線治療専門医/日本スポーツ協会公認スポーツドクター
高知医科大学(現・高知大学医学部)を卒業後、岡山大学放射線科に入局。放射線治療専門医として、がん治療の臨床に長年携わる。在宅医療・統合医療の現場を経て、発症を未然に防ぐ医療の実現を目指し、2022年7月にRiyoメディカルクリニックを開院。「病気を診るだけでなく患者様を診る」という姿勢のもと、幹細胞治療、高活性化NK細胞療法、エクソソーム(幹細胞培養上清液)を統合的に組み合わせた診療を提供している。
再生医療には「届出」が法律で義務づけられている

無認可のリスクを理解するために、まず再生医療を取り巻く制度から押さえておきましょう。
日本では2014年に施行された再生医療等安全性確保法によって、再生医療を提供する医療機関には、あらかじめ提供計画を国に届け出ることが義務づけられました。この法律は、治療のリスクの高さに応じて再生医療を第1種から第3種までの3段階に分類し、それぞれに必要な手続きを定めているものです。
リスクが高い治療ほど厳格な審査が求められ、認定された委員会の審査と厚生労働省への届出を経なければ、治療を提供することはできません。つまり、正規の手続きを踏んだ再生医療は、第三者によるチェックを通過していると言えます。逆に言えば、この手続きを踏まないまま行われる治療は、安全性や有効性が誰にも確認されていない状態で患者に施されてしまうのです。
厚生労働省は、この届出の仕組みや手続きについて詳しく公表しています。(出典:厚生労働省 再生医療等提供計画の提出等について)再生医療を検討する際は、その治療が正規の届出を経たものかどうかが、安全性を判断する出発点になります。
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無認可・無届けの再生医療に潜むリスク

では、届出を経ていない再生医療には、具体的にどのようなリスクがあるのでしょうか。大きく3つの側面から見ていきます。
安全性が誰にも確認されていない
最も深刻なのが、安全性のリスクです。正規の手続きでは、治療内容や使用する細胞、緊急時の対応体制までが審査の対象となります。無認可の治療では、こうしたチェックが一切働きません。
その結果として、重大な健康被害が現実に起きています。2025年8月には、東京都内のクリニックで慢性疼痛に対する自己脂肪由来幹細胞の点滴治療を受けた患者が、投与中に急変して死亡する事案が発生しました。厚生労働省は同法に基づき、当該クリニックと細胞を製造した施設に対して提供と製造の一時停止を命じています。(出典:厚生労働省 緊急命令について)
さらに2026年3月にも、別のクリニックで幹細胞投与を受けた患者が死亡し、厚生労働省は緊急命令を出すとともに、全国の医療機関に対して法令を順守するよう注意喚起の通知を発出しました。生きた細胞を体内に入れる治療には、血管が詰まる塞栓や重いアレルギー反応といった固有のリスクが伴うものでしょう。だからこそ、安全管理の体制が問われるのです。
有効性や品質が保証されていない
次に、有効性と品質のリスクがあります。無認可の治療では、その治療に本当に効果があるのか、使用される細胞が適切に管理されているのかが、まったく保証されません。
国立がん研究センターや京都大学などのチームによる調査では、中リスクに分類される再生医療のうち、約4分の1は治療法が安全だという科学的根拠に乏しいと報告されています。届出を経た治療であっても根拠が十分でないものが含まれるのですから、届出すらない治療の不確かさは推して知るべきでしょう。効果が証明されていない治療に高額な費用を支払うことには、大きな経済的リスクも伴います。
法的・倫理的な問題をはらむ
加えて、無認可の治療は法的・倫理的な問題もはらんでいます。届出を怠って再生医療を提供する行為は、再生医療等安全性確保法への違反となるでしょう。同法には、悪質な違反に対して拘禁刑や罰金といった罰則が定められており、実際に行政処分や緊急命令が発出された事例も複数あります。
患者の立場からすると、こうした医療機関で治療を受けること自体が、不確かな安全管理のもとに身を委ねることを意味します。万が一トラブルが起きた際の補償や救済の面でも、不安が残ると言わざるを得ません。
なぜ無認可の治療が後を絶たないのか
これだけのリスクがありながら、無認可や無届けの再生医療がなくならないのには、いくつかの背景があります。
再生医療は患者の期待が大きく、自由診療として高額な費用を設定できる分野です。そこに、利益を優先して手続きを軽視する事業者が入り込む余地が生まれています。また、患者側も「最先端の治療」という言葉に惹かれ、その治療が正規の手続きを経ているかどうかまで確認しないまま契約してしまうことが少なくありません。
ここで重要なのは、広告の派手さや費用の高さが、安全性を保証するものではないという点です。むしろ、効果を断定的にうたい、リスクの説明を避けるような訴求には、慎重になる必要があります。情報の受け手である患者自身が、見極める目を持つことが、自分の身を守る第一歩になります。
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安全な医療機関を見分けるための判断材料

では、安全に再生医療を受けるために、患者は何を確認すればよいのでしょうか。実践的な判断材料をいくつかお伝えします。
まず確認したいのが、その治療が再生医療等提供計画を届け出ているかどうかです。正規の手続きを経た医療機関であれば、提供計画の番号を持っています。カウンセリングの際に、計画番号や届出の状況を尋ねてみるとよいでしょう。明確に答えられない医療機関は、避けるのが賢明です。
次に、細胞を培養・加工する施設の体制も確認しておきたいところです。細胞培養加工施設は、清浄な環境で細胞を扱うための厳格な基準を満たさなければなりません。院内に自前の施設を備え、採取から投与まで一貫して管理しているか、外部に委託している場合はその施設が信頼できるかという点が、品質を左右するのです。
そして、効果とリスクの両方を率直に説明してくれるかという姿勢も、大切な判断材料です。「必ず治る」「副作用はない」といった断定的な説明には注意が必要です。効果の限界や起こり得るリスクまで丁寧に伝えてくれる医療機関こそ、信頼に値すると考えられます。
Riyoメディカルクリニックも、厚生労働省に第2種再生医療および第3種再生医療の提供計画が受理されております。院内にCPC(細胞培養加工施設)を完備し、細胞の採取から培養、品質検査、投与までの全工程を院内で一貫して管理する体制を敷いてまいりました。届出と品質管理の両面から、安全性を重視した再生医療を提供しているのです。
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正規の手続きと安全管理を確かめてから治療を選ぶ
再生医療は、適切な手続きと安全管理のもとで提供されてこそ、その可能性を発揮できる医療です。無認可や無届けの治療に潜むリスクは、決して軽視できるものではありません。
報道される死亡事故や行政処分は、再生医療そのものを否定するものではなく、ルールを守らない一部の治療がいかに危険かを示すものだと受け止めるべきでしょう。正規の届出を経て、厳格な品質管理のもとで提供される再生医療と、手続きを軽視した治療とを、患者自身が区別する目を持つことが何よりも大切です。
治療を検討する際は、効果や費用の魅力だけで判断するのではなく、その医療機関が正規の手続きを経ているか、安全管理の体制が整っているかを必ず確認してください。その一手間が、自分の身を守ることにつながります。
安全な再生医療についてはRiyoメディカルクリニックへ
「検討している再生医療が安全なものか確かめたい」「正規の手続きを経たクリニックで治療を受けたい」とお考えの方は、大阪・梅田のRiyoメディカルクリニックにご相談ください。
当クリニックは、厚生労働省に第2種再生医療(幹細胞治療)および第3種再生医療(高活性化NK細胞療法/計画番号:PC5240046)の提供計画が受理された医療機関です。院内にはCPC(細胞培養加工施設)を完備しており、細胞の採取から培養、品質検査、投与までの全工程を院内で一貫して管理する体制を整えてまいりました。
院長の上利理代は、放射線治療専門医としてがん治療の臨床に長年携わってきました。再生医療医・統合医療医として、幹細胞治療、高活性化NK細胞療法、エクソソーム(幹細胞培養上清液)を統合的に組み合わせた診療を提供しています。カウンセリングでは、治療の安全性や手続き、リスクについても丁寧にご説明いたしますので、どうぞ安心してお越しください。
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