TOPコラム再生医療の第1種・第2種・第3種の違いは?リスク分類と審査の仕組みを整理して解説

再生医療の第1種・第2種・第3種の違いは?リスク分類と審査の仕組みを整理して解説

再生医療を調べていると「第1種」「第2種」「第3種」という分類に出合うことがあるでしょう。幹細胞治療やPRP療法、高活性化NK細胞療法など、再生医療にはさまざまな種類がありますが、法律上はリスクの高さに応じて3段階に区分されており、それぞれ求められる審査や施設要件が異なります。

この分類は「再生医療等安全性確保法(安確法)」に基づくもので、2014年11月の施行以降、日本国内で再生医療を提供するすべての医療機関が従うべきルールとなっています。患者にとって、自分が受けようとしている治療がどの分類に該当するのかを知ることは、クリニックの安全体制を評価するための重要な手がかりになります。

本記事では、第1種から第3種までの具体的な違いを、審査体制や施設要件、代表的な治療内容とともに整理し、患者目線で「分類の違いがなぜ重要なのか」を解説します。

 

リスク分類の全体像を把握する

安確法では、再生医療に用いる技術を「人の生命や健康に与える影響の程度」に応じて3段階に分類しています。最もリスクが高い技術が第1種、中間が第2種、比較的リスクが低い技術が第3種です(出典:厚生労働省 再生医療等安全性確保法の概要)。

分類の判断基準となるのは、使用する細胞の種類、培養の有無、投与方法、そして「自家(自分の細胞)」か「他家(他人の細胞)」かといった要素の組み合わせです。単純に「危険か安全か」ではなく、治療に伴う不確実性の度合いによって振り分けられていると捉えるとわかりやすいでしょう。

ここで重要なのは、分類が異なれば必要な審査の厳格さも変わるという点です。第1種・第2種は「特定認定再生医療等委員会」の審査が必要であるのに対し、第3種は一般の「認定再生医療等委員会」で足りるなど、手続きの負担に明確な差が設けられています。

 

第1種再生医療等の特徴と対象

第1種に分類されるのは、人の生命や健康に与える影響が未知であるか、重大な影響をおよぼすおそれがある技術です。具体的には、iPS細胞(人工多能性幹細胞)やES細胞(胚性幹細胞)を用いるもの、遺伝子を導入する操作を行った細胞を用いるもの、そして投与を受ける本人以外の細胞(他家細胞)を用いるものなどが該当します。

第1種の審査は最も厳格であり、特定認定再生医療等委員会の意見を聴いたうえで、厚生労働大臣に提供計画を提出し、90日間の審査期間を経なければ治療を開始できません。施設や人員に関する一定の要件も課せられており、事実上、大学病院や研究機関レベルの設備と体制がなければ提供は困難と言えるでしょう。

日本医師会の資料によると、2017年10月末時点で第1種の提供件数は17件であり、すべてが臨床研究でした。治療目的での提供はゼロという状況からも、第1種がいかに限定的な領域であるかが読み取れます(出典:日本医師会 医の倫理の基礎知識)。

 

第2種再生医療等の特徴と対象

第2種は、相当の注意を払っても人の生命や健康に影響をおよぼすおそれがある技術に適用される分類です。代表的なものとして、培養した幹細胞を用いる治療が挙げられます。

たとえば、患者自身の脂肪組織から採取した間葉系幹細胞を体外で培養し、点滴や注射で投与する治療は、第2種に該当するケースが一般的です。培養という工程が入ることで細胞が体外で長期間操作されるため、無菌管理や品質管理の基準が第3種よりも厳しく設定されています。

 

第2種に求められる施設要件

第2種の提供にあたっては、第1種と同様に特定認定再生医療等委員会の審査を経る必要があり、施設・人員面での一定の要件も課せられます。特に細胞の培養を行うためには、CPC(Cell Processing Center/細胞培養加工施設)と呼ばれる専用施設が不可欠です。CPCは無菌環境の維持、温度管理、品質検査といった厳密な管理が求められる施設であり、その運営体制が治療の安全性を大きく左右します。

Riyoメディカルクリニックでは、厚生労働省に第2種再生医療等提供計画が受理されており、院内に厚生労働大臣から施設番号が付与されたCPCを完備しています。患者様の細胞を院外に持ち出すことなく、採取から培養、品質検査、投与まで院内で一括管理できる体制は、第2種の治療を安全に提供するうえでの基盤となっています。

 

第3種再生医療等の特徴と対象

第3種は、3つの分類のなかで最もリスクが低いとされるカテゴリです。PRP(多血小板血漿)療法や、リンパ球を用いたがん免疫治療など、培養を伴わない技術や、免疫細胞を培養して用いる技術が主に該当します。

審査は「認定再生医療等委員会」(特定認定ではない一般の委員会)の審査が必要で、2種同様に提供計画書提出の義務がありますが、施設要件も第1種・第2種ほど厳格ではありません。厚生労働省の報告によると、2020年1月末時点で届出された再生医療計画3,800件超のうち、約8割が第3種に分類されていたとされています(出典:日本再生医療学会 新法関連情報)。歯科や整形外科領域でのPRP療法がその大半を占めており、第3種が数の上では再生医療の主流を形成している実態が見えてきます。

Riyoメディカルクリニックでは、第3種再生医療として「悪性腫瘍に対する高活性化NK細胞療法」(計画番号:PC5240046)の提供計画が厚生労働省に受理されています。NK細胞(ナチュラルキラー細胞)を選択的に増殖・活性化させて体内に戻すこの治療は、第3種に分類されるものの、院内CPCで品質管理された細胞を用いて行うため、安全性を重視した体制のもとで提供されています。

 

「第3種だから安全」とは限らない理由

分類を理解するうえで特に注意したいのが、「第3種=安全」「第1種=危険」という短絡的な図式は成り立たないという点です。

リスク分類はあくまで技術の種類に基づく行政上の区分であり、個々の治療の安全性は、培養の品質管理、投与方法、医師の臨床経験、緊急時の対応体制など、複合的な要因によって決まります。朝日新聞の報道によると、リスクが「中レベル」に分類される第2種の再生医療のうち、約4分の1は安全性の根拠に乏しいという研究結果が国立がん研究センターや京都大学のチームから発表されています。

2025年8月には、第2種に該当する自己脂肪由来幹細胞治療の投与中に患者が急変し死亡する事故が発生し、厚生労働省が安確法に基づく初の緊急命令を出しました(出典:厚生労働省 報道発表)。この事故は、分類上の手続きを踏んでいたとしても、現場の管理体制次第で重大な事故が起こり得ることを如実に示した事例と言えるでしょう。

患者がクリニックを選ぶ際は、「何種の治療を受けるか」だけでなく、「そのクリニックがどのような安全管理体制を整えているか」まで踏み込んで確認することが大切です。

 

自家と他家の違いも知っておく

第1種~第3種の分類と並んで、患者が把握しておきたいもう一つの軸が「自家」と「他家」の違いです。

自家(じか)とは、患者自身の細胞を採取して用いる方法であり、拒絶反応のリスクが低いという利点があります。一方、他家(たか)とは、患者以外のドナーから提供された細胞を用いる方法で、あらかじめ大量に製造・保管できるため、治療のスケーラビリティ(供給の拡張性)に優れるという特徴を持っています。

安確法上、他家細胞を用いる治療は原則として第1種に分類されるため、審査や管理のハードルが高くなります。現在、クリニックの自由診療として提供されている幹細胞治療やNK細胞療法は自家細胞を用いる第2種または第3種です。

 

分類の理解がクリニック選びの判断力になる

第1種・第2種・第3種の違いを理解しておくと、クリニックのWebサイトに記載されている「再生医療等提供計画番号」の意味が具体的に読み取れるようになります。計画番号を見れば、そのクリニックが何種の治療を提供しているかがわかり、求められる審査や施設要件のレベルを推測する手がかりになるからです。

加えて、2025年3月に日本再生医療学会が採択した「YOKOHAMA宣言2025」では、未承認の再生医療を「検証型診療」と「無検証診療」に区分し、科学的検証を伴わない治療の抑制方針が示されました(出典:日本再生医療学会)。今後は分類だけでなく、その治療が科学的なデータの蓄積を伴っているかどうかも、患者が判断すべき重要な基準となっていくでしょう。

 

再生医療の分類についてはRiyoメディカルクリニックへ

「自分が検討している治療は何種にあたるのか」「第2種と第3種では具体的に何が違うのか」といった疑問をお持ちの方は、大阪・梅田のRiyoメディカルクリニックにお気軽にご相談ください。

当クリニックは、第2種再生医療(幹細胞治療)および第3種再生医療(高活性化NK細胞療法/計画番号:PC5240046)の提供計画が厚生労働省に受理された医療機関です。院内にCPC(細胞培養加工施設)を完備し、細胞の採取から培養、品質検査、投与まで、すべての工程を院内で一貫管理する体制を整えています。

院長の上利理代は放射線治療専門医としてがん治療に長年携わった経験を持ち、再生医療医・統合医療医として幹細胞治療、NK細胞療法、エクソソーム療法を統合的に組み合わせた診療を行っています。カウンセリングでは、治療の分類やリスクについても丁寧にご説明いたします。

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