再生医療の選び方で後悔しないためには?認定医・培養施設・検証体制の確認ポイント
幹細胞治療やエクソソーム(幹細胞培養上清液)療法、高活性化NK細胞療法など、再生医療の選択肢は年々広がっています。しかし選択肢が増えるほど、「どの治療を」「どのクリニックで」受けるべきかの判断は難しくなるものです。再生医療は自由診療が中心であるため、治療の質やクリニックの安全体制に大きな差があり、選び方を間違えると費用だけでなく健康面でもリスクを負いかねません。
2025年3月、日本再生医療学会は「YOKOHAMA宣言2025」を採択し、科学的検証を伴う「検証型診療」と、検証を伴わない「無検証診療」を明確に区別する方針を打ち出しました(出典:日本再生医療学会)。学会が自由診療の再生医療に「エビデンスの有無」という判断基準を持ち込んだ意義は大きく、患者がクリニックを選ぶ際の視点にも影響を与えるものと考えられます。
本記事では、再生医療を受ける前に確認すべきポイントを、制度面・施設面・医師の専門性の3つの軸から整理し、後悔のない選択につなげるための考え方をお伝えします。
まず確認すべきは再生医療等提供計画の届出

再生医療等安全性確保法(安確法)により、再生医療を提供する医療機関は厚生労働省への「再生医療等提供計画」の提出が義務づけられています。未届での治療提供には罰則があるため、届出の有無はクリニック選びの最低条件と言えるでしょう。
ただし、「届出済み」は安全性に関する手続きを踏んだことの証明であり、治療の有効性を国が保証したものではない点に注意が必要です。京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が2024年に報告した調査では、届出された再生医療計画の約25%に科学的根拠が乏しいという結果が出ています。
では、届出の中身をどう確認すればよいのか。注目すべきは「計画番号」と「リスク分類」の2点です。再生医療はリスクに応じて第1種(iPS細胞等)、第2種(培養幹細胞等)、第3種(PRP等)に分類されており、リスクが高い治療ほど厳格な審査と施設要件が求められます。たとえば幹細胞を培養して投与する治療は第2種に該当し、特定認定再生医療等委員会の審査が必要となります。クリニックのWebサイトに計画番号が明記されていれば、どの治療がどのリスク分類で提供されているかを公的に確認でき、透明性の指標となります。
「検証型」か「無検証」かを見極める新しい基準

2025年のYOKOHAMA宣言は、患者にとって極めて実用的な判断基準を提示しました。
「検証型診療」とは、未承認の治療であっても、第三者の独立したレジストリ(データベース)に臨床データを蓄積し、治療前後に検証型研究を実施している診療のことを指します。一方の「無検証診療」は、そうした科学的な検証プロセスを伴わない診療です(出典:AMED 日本医療研究開発機構)。
日本再生医療学会は「無検証診療」の抑制方針を明確に打ち出しており、今後は検証体制を持たないクリニックの淘汰が進む可能性があります。
患者の立場からは、カウンセリングの際に「治療データの蓄積や公開はしていますか」「治療効果の評価をどのように行っていますか」と質問してみてください。具体的な回答が得られるクリニックは、自らの治療を客観的に検証する姿勢を持っている可能性が高いと判断できるでしょう。
再生医療認定医の有無を確認する

日本再生医療学会は「再生医療認定医」制度を設けており、再生医療に関する知識と技術を持つ医師を認定しています(出典:日本再生医療学会 再生医療認定医)。認定医は、医療倫理の理解、細胞や組織に関する専門知識、再生医療に関わる法規制の知識を有していることが求められます。
ただし、現時点で再生医療認定医の数は限られており、認定医が在籍していないクリニックのすべてが問題というわけではありません。認定医制度はあくまで一つの指標であり、医師の専門性を評価する際は、臨床経験、学会での発表実績、そして治療対象の疾患に関する理解の深さも合わせて確認することが大切です。
医師の「本業」と再生医療の関係に注目する
見落とされがちなポイントとして、医師がもともと持つ専門領域と再生医療の適合性があります。CiRAの調査でも、届出計画の約30%で医師の専門分野と治療内容のミスマッチが報告されています。
たとえば、がん治療に関連した免疫細胞療法を提供する場合は、がん治療の臨床経験を持つ医師が在籍しているかどうかが重要な判断材料になります。細胞の投与後に体内でどのような反応が起こるかを予測する力は、教科書の知識だけでは身につかず、長年の臨床経験に裏打ちされた判断力が必要となるためです。
細胞培養施設(CPC)の管理体制を確認する

幹細胞やNK細胞を用いた治療では、患者から採取した細胞を体外で培養・活性化する工程が不可欠です。この工程を行うCPC(Cell Processing Center)の管理体制は、治療の安全性と品質を左右する決定的な要因の一つです。
院内CPCと外部委託の違い
CPCの運営形態は、クリニック内に設置する「院内CPC」と、外部の専門企業に培養を委託する「外部委託」の大きく2パターンに分かれます。
院内CPCの利点は、細胞の採取から培養、品質検査、投与まで全工程を一貫管理できる点にあります。細胞は生きた「生もの」であり、輸送中の温度変化や時間経過が品質に影響を与えるリスクは否定できません。院内で完結する体制は、そうした輸送リスクを排除できるという構造的な強みがあります。
2025年8月に発生した再生医療中の死亡事故では、細胞培養を外部企業に委託していたクリニックにおいて問題が生じ、クリニックと委託先の双方に厚生労働省から停止命令が出されました(出典:厚生労働省 報道発表)。外部委託がすべて危険というわけではありませんが、培養プロセスの透明性とクリニック側の管理責任が問われた事例と言えるでしょう。
Riyoメディカルクリニックでは、厚生労働大臣から施設番号が付与された院内CPC(細胞培養加工施設)を完備しています。患者様の細胞を外部に持ち出すことなく、採取から培養・品質検査・投与まで院内で一括管理できる体制は、安全性を重視する方にとって確認しておきたい情報でしょう。
メリットとデメリットを冷静に比較する

再生医療には大きな可能性がある一方で、万能ではありません。治療を選ぶ前に、メリットとデメリットの両面を正確に理解しておくことが冷静な判断の土台となります。
再生医療のメリット
再生医療の第一の利点は、自分自身の細胞を用いるため、薬物治療で見られるような全身性の副作用が起こりにくい点です。治療で投与するのは自己由来の細胞であるため、拒絶反応のリスクも低く抑えられています。
第二に、通院での治療が可能なケースが多く、入院を伴わないため日常生活への影響が少ない傾向にあります。NK細胞療法の場合、Riyoメディカルクリニックでは点滴投与に要する時間はおよそ30分程度とされています。
第三に、手術や薬物治療といった標準的な治療と併用することで、相乗的な効果が期待できる場合があります。標準治療で低下した免疫力の回復をサポートするといったアプローチは、治療を「点」ではなく「面」で考える統合的な発想にもとづいています。
再生医療のデメリット
一方で、自由診療であるため費用は全額自己負担となり、経済的負担が大きい点は見過ごせません。1クールあたり数十万円から数百万円に及ぶケースもあり、治療を開始する前に総費用の見通しを明確にしておくことが不可欠です。
効果には個人差がある点も重要な認識です。年齢、健康状態、疾患の進行度など、患者ごとの条件によって治療への反応は異なります。「必ず効く」と断言するクリニックがあれば、むしろ警戒すべきサインと受け止めてよいかもしれません。
保険適用の治療と比べてエビデンスの蓄積が途上にある点も、現時点での限界の一つです。だからこそ、先述のYOKOHAMA宣言が示す「検証型診療」のように、治療データの蓄積と公開に取り組むクリニックを選ぶ意義は大きいと言えるでしょう。
リスク説明と費用説明の質でクリニックの姿勢を読む

カウンセリングの場で確認すべき最後のポイントは、リスクと費用に関する説明の具体性です。
治療のメリットばかりを強調し、副作用や効果の限界についての説明が曖昧なクリニックには注意が必要でしょう。信頼できるクリニックは、投与時に起こり得る反応(軽度の発熱、注射部位の疼痛など)から、まれに生じるアナフィラキシーや塞栓症のリスクまで、具体的な説明を行ったうえで、発生時の対応体制についても言及してくれるはずです。
費用に関しては、初診料、検査費用、培養費用、投与費用、アフターケア費用といった内訳が明確に提示されるかどうかを確認してください。「治療を始めてから追加費用が判明した」という事態を避けるためにも、事前の費用説明の丁寧さは、クリニックの誠実さを測る有効な指標となります。
再生医療のご相談はRiyoメディカルクリニックへ
「自分に合った再生医療はどれか」「クリニック選びで何を基準にすればよいか」とお悩みの方は、大阪・梅田のRiyoメディカルクリニックにご相談ください。
当クリニックは、厚生労働省に再生医療等提供計画が受理された医療機関として、第2種再生医療(幹細胞治療)および第3種再生医療(活性化NK細胞療法/計画番号:PC5240046)を提供しています。院内にCPC(細胞培養加工施設)を完備し、細胞の採取・培養・品質検査・投与の全工程を院内で一貫管理する体制を整えています。
院長の上利理代は放射線治療専門医としてがん治療の臨床に長年携わった経験を持ち、再生医療医・統合医療医として幹細胞治療、高活性化NK細胞療法、エクソソーム(幹細胞培養上清液)療法を統合的に組み合わせた診療を提供しています。カウンセリングでは治療の期待される効果とリスクの両面を丁寧にご説明し、患者様が納得したうえで治療に臨めることを大切にしています。
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