TOPコラム再生医療の培養工程は?採取から投与までの流れと品質を支える仕組み

再生医療の培養工程は?採取から投与までの流れと品質を支える仕組み

再生医療を検討するなかで、「採取した細胞は、体に戻されるまでにどんな工程を経ているのか」と疑問に思った方は少なくないでしょう。幹細胞治療や高活性化NK細胞療法では、採取した細胞をそのまま使うわけではありません。体外で増やし、活性化させ、安全性を確認するという一連の培養工程を経て、はじめて治療に用いられます。

この培養工程は、再生医療の効果と安全性を左右する心臓部とも言える部分でしょう。けれども患者からは見えにくいため、「クリニックの奥で何が行われているのか」が理解されないまま治療が進むことも珍しくありません。培養工程の中身を知ることは、治療への納得度を高め、信頼できる医療機関を見極める手がかりにもなります。

本記事では、再生医療の培養工程が採取から投与までどのように進むのか、そして品質を支える仕組みがどこにあるのかを、専門外の方にもわかりやすくお伝えします。

 

培養工程とは何かを押さえる

まず、培養工程という言葉が指す範囲を整理しておきましょう。培養とは、生体から採取した細胞を、体外の管理された環境で増やし、維持する技術のことを指します。

採取したばかりの細胞は、ごくわずかしかなく、そのまま治療に用いることはできません。たとえば当院における幹細胞治療では、米粒数粒ほどの脂肪組織から幹細胞を取り出し、それを数億の単位まで増やしていきます。この「増やす」作業こそが培養の中心であり、再生医療を成り立たせている土台と言えるでしょう。

ここで知っておきたいのは、培養が単に数を増やすだけの作業ではないという点でしょう。細胞が本来の性質を保ったまま、雑菌に汚染されることなく、健康な状態で増えていくよう繊細に制御してこそ、治療に使える細胞が得られます。培養工程の質が、そのまま治療の質に直結すると言っても過言ではないでしょう。

 

採取から投与までの流れ

では、再生医療の細胞は具体的にどのような流れで治療に至るのでしょうか。高活性化NK細胞療法を例に、おおまかな道のりをたどってみましょう。

 

採取

最初の工程が、細胞のもとになる組織や血液の採取です。高活性化NK細胞療法では、50mL程度の血液を採取します。幹細胞治療の場合は、当院では腹部からごく少量の脂肪組織を取り出す。

採取の段階で意識したいのは、患者の体への負担をいかに抑えるかという点です。採取量が少なくて済むほど、患者にとっての負担は軽くなるでしょう。少量の採取で十分な細胞を確保できるかどうかは、その後の培養技術にも左右される部分なのです。

 

分離と播種

採取した組織や血液には、目的の細胞以外にもさまざまな成分が含まれています。そこから治療に使う細胞だけを取り出さなければなりません。この取り出す作業を分離と呼び、分離した細胞を培養容器に移して増殖を始められる状態に整える工程を播種と言います。

この段階で重要になるのが、雑菌や不純物の混入を防ぐことでしょう。ひとたび汚染が起これば、培養した細胞すべてが使えなくなるだけでなく、患者の安全をも脅かしかねません。だからこそ、分離と播種は徹底的に管理された清浄な環境で行われる必要があります。

 

培養と増殖

播種を終えた細胞は、インキュベーターと呼ばれる装置のなかで育てられます。インキュベーターとは、細胞が増えやすいよう温度や二酸化炭素濃度、湿度を一定に保つ装置のことです。人間の体内とよく似た環境を人工的につくり出し、細胞が快適に増殖できる条件を整えます。

培養には数週間を要します。高活性化NK細胞療法の場合は、2週間から3週間ほどかけてNK細胞を選択的に増やし、活性化させていくのが一般的です。この間、培養技師は細胞の状態を観察しながら、培養液を交換したり増え方を確認したりと、細やかな管理を続けます。

 

品質検査

十分に増えた細胞は、すぐに投与されるわけではありません。投与の前に、細胞が安全で、治療に使える品質を満たしているかを確認する品質検査が行われます。

検査では、細菌やウイルスなどによる汚染がないか、細胞が十分な数と生存率を保っているか、本来の性質を維持しているかなどが確かめられるのです。万が一でも基準を満たさない細胞が投与されることのないよう、この検査が最後の砦として機能していると言えます。品質検査の有無と厳格さは、安全な再生医療を見分けるうえで欠かせない観点だと言えるでしょう。

 

投与

すべての検査をクリアした細胞が、ようやく患者の体内へと戻されます。高活性化NK細胞療法では、点滴によって約30分かけて投与し、6回の投与で1クールとするスケジュールが組まれることが多いです。

採取から投与まで、複数の工程を経て細胞が患者のもとへ戻ります。この一連の流れを知ると、再生医療が単なる注射や点滴ではなく、精密な製造プロセスに支えられた治療であることが見えてくるのではないでしょうか。

 

培養の品質を左右する3つの要素

ここまで流れを追ってきましたが、培養工程の質は何によって決まるのでしょうか。とりわけ重要となる要素を、3つの観点から掘り下げてみましょう。

 

細胞を汚染から守る清浄な環境

培養工程で最も警戒すべきは、細菌や真菌、ウイルスなどによる汚染です。培養中の細胞は無防備で、わずかな雑菌の混入でも増殖して台無しになりかねません。

そのため、細胞を扱う作業は、空気中の微粒子を厳しく管理したクリーンルームのなかで行われ、培養を担う細胞培養加工施設はCPC(Cell Processing Center)と呼ばれ、再生医療等安全性確保法のもとで厳格な基準が課せられています。CPCの管理体制がしっかりしているかどうかは、培養の質を判断する第一の手がかりになるでしょう。

 

細胞の質を保つ培養技術

同じ細胞を培養しても、技術によって仕上がりは変わってくるでしょう。たとえば、培養した細胞を別の施設へ運ぶ際に冷凍すると、細胞の一部が死滅したり、質が低下したりすることが知られているのです。冷凍せずに培養から投与まで一貫して扱えるかどうかは、細胞のクオリティに影響を与える要素の一つでしょう。

また、培養に用いる培養液の成分も見過ごせないでしょう。化学薬品や添加物、あるいは他人の血液由来の成分を極力使わない培養法を採用することで、安全性とアレルギーリスクの低減を図る取り組みも進んでいるのです。こうした技術の差は、患者からは見えにくいものの、治療の安全性を支える大切な部分だと言えるでしょう。

 

工程を担う人と記録の管理

どれほど優れた設備があっても、それを扱うのは人にほかなりません。再生医療の培養は、専門的な知識と技術を持つ培養技師の手によって支えられており、細胞培養技術者という専門職が日々細胞の状態を見極めながら作業を進めています。

あわせて欠かせないのが、工程の記録です。いつ、誰が、どの細胞に、どんな作業を行ったのかを記録に残すことで、万が一の際にも原因をたどれる体制が保たれるでしょう。記録の管理は地味な作業に見えるかもしれませんが、再生医療の信頼性を裏側から支える仕組みなのです。

 

院内に培養施設があることの意味

再生医療を提供するクリニックには、培養を外部の施設に委託するところと、院内に自前の培養施設を持つところがあります。患者にとって、この違いはどんな意味を持つのでしょうか。

培養を外部委託する場合、採取した細胞を施設まで輸送する必要があります。輸送の過程では温度管理が求められ、細胞の質が変わる可能性も否定できません。一方、院内に培養施設があれば、細胞を外に出すことなく、採取から培養、品質検査、投与までを一つの管理下で完結できるのです。

院内一貫管理の利点は、細胞の移動に伴うリスクを抑えられる点にあります。輸送のストレスや汚染の機会を減らし、培養の状況を医師と培養技師が密に共有できる体制は、品質管理の透明性という面でも患者に安心をもたらすでしょう。培養施設がどこにあるのかは、クリニックを選ぶ際にぜひ確認してみてください。

Riyoメディカルクリニックでは、厚生労働大臣から施設番号が付与された院内CPCを完備し、患者の細胞を外部に持ち出すことなく、採取から培養、品質検査、投与までの全工程を院内で一貫して管理しており、熟練の臨床培養技師が細胞の状態を見極めながら培養を行っています。

 

培養工程を知ることが納得につながる

培養工程は、患者の目に直接触れることのない領域です。だからこそ、その中身を知っておくことには大きな意味があるでしょう。

採取された細胞が、清浄な環境で慎重に育てられ、厳しい品質検査を経て体に戻されることを思えば、再生医療が緻密な管理のうえに成り立つ治療であることが実感できるでしょう。そして、培養施設の体制や品質管理の仕組みに目を向けることが、信頼できるクリニックを見極める確かな視点になります。

治療を受けるかどうかを判断する際は、効果や費用だけでなく、「その細胞がどのように準備されるのか」にも関心を向けてみてください。培養工程への理解は、納得して治療に臨むための土台になるはずです。

 

再生医療の培養工程についてはRiyoメディカルクリニックへ

「再生医療の培養工程について詳しく知りたい」「どんな体制で細胞が管理されているのか確認したい」とお考えの方は、大阪・梅田のRiyoメディカルクリニックにご相談ください。

当クリニックは、厚生労働省に第2種再生医療(幹細胞治療)および第3種再生医療(高活性化NK細胞療法/計画番号:PC5240046)の提供計画が受理された医療機関であり、院内にCPC(細胞培養加工施設)を完備し、細胞の採取から培養、品質検査、投与までの全工程を院内で一貫して管理する体制を整えております。

院長の上利理代は、放射線治療専門医としてがん治療の臨床に長年携わってきました。再生医療医・統合医療医として、幹細胞治療、高活性化NK細胞療法、エクソソーム(幹細胞培養上清液)を統合的に組み合わせた診療を提供しています。カウンセリングでは、培養工程や品質管理の仕組みについても丁寧にご説明いたしますので、どうぞ安心してお越しください。

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