TOPコラム再生医療の法律と安全の仕組みとは?リスク分類から届出制度まで患者目線で徹底解説

再生医療の法律と安全の仕組みとは?リスク分類から届出制度まで患者目線で徹底解説

再生医療に関心を持って調べ始めると、「再生医療等安全性確保法」「薬機法」「第1種・第2種・第3種」といった法律用語が次々と登場し、戸惑う方も少なくないでしょう。しかし、再生医療を検討する患者にとって、治療の安全性を支える法的な仕組みを理解しておくことは、クリニック選びの判断力に直結する重要な知識となります。

日本は再生医療に関する独自の法整備を世界に先駆けて進めた国の一つです。2014年に施行された再生医療等安全性確保法(通称「安確法」)は、再生医療を「迅速かつ安全に」国民に届けるための枠組みとして機能しています。一方で、2025年8月には自由診療の再生医療中に患者が死亡する事故が発生し、法の運用面における課題も浮き彫りになりました。

本記事では、再生医療に関わる2つの法律の役割、リスク分類の仕組み、そして患者が知っておくべき制度上のポイントを、できるだけ平易な言葉で整理します。

 

再生医療を支える2つの法律の違いを理解する

再生医療に関する法律は大きく2つ存在し、それぞれの役割がまったく異なります。混同されやすいため、ここで明確に整理しておきましょう。

 

再生医療等安全性確保法(安確法)の役割

1つ目は「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」、略して安確法と呼ばれる法律です。2014年11月に施行されました。

安確法は、医療機関(クリニックや病院)が患者に直接、再生医療を「自由診療」や「臨床研究」として提供する場合のルールを定めた法律です。つまり、特定の患者に対して個別に行う再生医療を規制対象としています。

安確法のもとでは、再生医療を提供するすべての医療機関に対し、厚生労働大臣への「再生医療等提供計画」の提出が義務づけられています。計画を提出せずに再生医療を行った場合には罰則が適用されるため、届出は任意ではなく法的義務である点が重要です(出典:厚生労働省 再生医療等安全性確保法の概要)。

 

薬機法(医薬品医療機器等法)の役割

2つ目は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、いわゆる薬機法です。

薬機法は、企業が再生医療等製品を「商品」として不特定多数の患者に提供する場合のルールを定めた法律にあたります。具体的には、製薬企業などが幹細胞やiPS細胞を用いた製品を開発し、承認を得て市場に出すプロセスを規制しています。

では、この2つの法律はどう住み分けているのでしょうか。簡潔にまとめると、安確法は「医師が特定の患者に行う治療」を、薬機法は「企業が不特定多数に提供する製品」を、それぞれ規制しているという構造になっています。患者がクリニックで受ける幹細胞治療やNK細胞療法の多くは安確法の管轄下にあり、クリニックを選ぶ際に確認すべき法的根拠も安確法に基づくものが中心となります。

 

リスク分類(第1種~第3種)の仕組みと実態

安確法の最大の特徴は、再生医療をリスクの高さに応じて3段階に分類し、リスクが高いほど厳格な審査・管理を求める仕組みを採用している点にあります。

 

第1種再生医療等(リスク最高)

第1種は、iPS細胞やES細胞(胚性幹細胞)を用いるもの、遺伝子を導入する操作を行った細胞を用いるもの、そして投与を受ける本人以外の細胞(他家細胞)を用いるものなどが該当します。人の生命や健康に与える影響が未知であるか、重大な影響のおそれがある技術が分類されるカテゴリです。

第1種の再生医療を提供するには、「特定認定再生医療等委員会」という特に高度な審査能力を持つ第三者委員会の意見を聴いたうえで、厚生労働大臣に提供計画を提出し、90日間の審査期間を経る必要があります。日本医師会の資料によると、2017年10月末時点で第1種の提供件数は17件(すべて臨床研究)にとどまっており、治療目的での提供はゼロでした(出典:日本医師会 医の倫理の基礎知識)。

 

第2種再生医療等(リスク中)

第2種は、培養した幹細胞を利用する治療などが該当します。たとえば、自己脂肪由来の間葉系幹細胞を培養して点滴投与する治療や、自己の幹細胞を用いた関節治療などが第2種に分類されるケースが多く見られます。

第2種も第1種と同様に特定認定再生医療等委員会の審査が必要であり、施設や人員に関する一定の要件も課されています。幹細胞を体外で培養するという工程が入るため、培養施設(CPC)の品質管理が治療の安全性を大きく左右するカテゴリと言えるでしょう。

Riyoメディカルクリニックでは、第2種再生医療として幹細胞治療の提供計画が厚生労働省に受理されており、院内にCPC(細胞培養加工施設)を完備して細胞の培養から投与まで一貫管理できる体制を整えています。

 

第3種再生医療等(リスク比較的低)

第3種は、PRP(多血小板血漿)療法やリンパ球を用いたがん免疫治療などが該当します。体外での培養を伴わないか、培養の程度が限定的な技術が中心であり、第1種・第2種と比較すると手続きの負担は軽減されています。

第3種の場合は、「認定再生医療等委員会」(特定認定ではない一般の委員会)の意見を聴けば足り、施設要件も第1種・第2種ほど厳格ではありません。厚生労働省の報告によると、2020年1月末時点で届出された再生医療計画3,800件超のうち、約8割が第3種に分類される歯科や整形外科関連の治療であったとされています(出典:日本再生医療学会 新法関連情報)。

ここで見落とされがちなのが、「第3種だから安全」「第1種だから危険」という単純な図式は成り立たない点です。リスク分類はあくまで技術の種類に基づくものであり、個々の治療の安全性は、使用する細胞の種類だけでなく、培養の品質管理、投与方法、医師の技量、緊急時の対応体制など、複合的な要因によって決まります。

 

「届出済み」が意味すること、意味しないこと

再生医療を検討する患者がまず確認すべきは、そのクリニックが厚生労働省に再生医療等提供計画を提出しているかどうかです。未届けでの提供は法律違反であり、罰則の対象となります。

ただし、多くの患者が誤解しがちな点があります。「届出」とは、安全性確保のための手続きを経ていることの証明であって、国が治療の有効性を保証したものではないということです。日本再生医療学会も公式に、自由診療の再生医療は厚労省の承認を受けた治療ではなく、有効性は保証されないという見解を表明しています。

では、届出制度は何を担保しているのでしょうか。担保されているのは、認定再生医療等委員会による安全性の審査を経ていること、提供計画が一定の基準を満たしていること、そして疾病等が発生した場合に厚生労働省への報告義務が課せられていること、の3点です。逆に言えば、「治療を受ければ必ず効果がある」とか「国がお墨付きを与えた」という意味ではない点を、患者自身がしっかり認識しておく必要があります。

 

提供計画の質にもばらつきがある

京都大学iPS細胞研究所(CiRA)が2024年に発表した調査は、業界に衝撃を与えました。届出された再生医療計画のうち、約25%で科学的根拠が乏しく、約30%で医師の専門分野と治療内容にミスマッチがあることが報告されたのです。

つまり、「届出済み」であっても、その計画の質や実施体制には施設間で大きな差が存在し得るということになります。患者が治療を受ける際は、計画番号の有無を確認するだけでなく、医師の専門性、培養施設の管理体制、リスク説明の丁寧さといった複合的な観点からクリニックを評価する姿勢が求められます。

 

2025年の死亡事故が突きつけた法制度の課題

2025年8月、東京都中央区のクリニックで自己脂肪由来幹細胞の点滴投与中に患者が急変し死亡する事故が発生しました。厚生労働省は再生医療等安全性確保法に基づく初の緊急命令を発出し、当該クリニックおよび細胞培養を受託していた外部施設に対して治療・製造の一時停止を命じています(出典:厚生労働省 報道発表)。

この事故は、安確法の枠組みのもとで届出を行い、認定委員会の審査を経ていたクリニックで発生したという点で、法制度の限界を浮き彫りにしました。届出と審査のプロセスは存在していたにもかかわらず、実際の治療現場における救急対応の体制や品質管理の実態までは、制度だけでは完全にカバーしきれないという現実が明らかになったわけです。

再生医療そのものが危険なわけではありません。しかし、法的な手続きを踏んでいることと、現場レベルでの安全管理が万全であることは必ずしもイコールではないという認識を持つことが、患者として身を守るための第一歩と言えるでしょう。

 

法改正の動きと今後の展望

安確法は2024年に改正が行われ、適用範囲が遺伝子治療等にも拡大されるとともに、立入検査等に関する規定が整備されました。改正の背景には、再生医療の技術が急速に進歩する中で、法律がカバーすべき領域が拡大したことがあります。

今後の論点として注目されているのが、自由診療として提供される再生医療の「有効性」をどこまで法制度で担保するかという議論です。現行の安確法は安全性の確保を主眼としており、有効性の検証までは義務づけていません。日本医師会も「エビデンスの乏しい細胞治療が提供されることへの懸念」を指摘しており、再生医療を医療として提供する前に、日本人を対象とした十分な検証が行われるべきだという声は今後さらに強まる可能性があります。

患者の立場からすれば、法整備が進むことは歓迎すべき流れです。ただし、法律の進化を待つだけでなく、自分自身で信頼できるクリニックを見極める力を持つことが、現時点では最も確実な自衛策となるでしょう。

 

再生医療の法律や安全性についてはRiyoメディカルクリニックへ

「再生医療に興味があるが、法律の仕組みがよくわからない」「自分が受けようとしている治療は法的にどう位置づけられるのか知りたい」という方は、大阪・梅田のRiyoメディカルクリニックにぜひご相談ください。

当クリニックは、再生医療等安全性確保法に基づき、第2種再生医療(幹細胞治療)および第3種再生医療(活性化NK細胞療法/計画番号:PC5240046)の提供計画が厚生労働省に受理された医療機関です。院内には厚生労働大臣から施設番号が付与されたCPC(細胞培養加工施設)を完備し、細胞の採取・培養・品質検査・投与のすべての工程を院内で一貫して管理しています。

院長の上利理代は放射線治療専門医としてがん治療に長年携わった臨床経験を持ち、再生医療医・統合医療医として、幹細胞治療やNK細胞療法、エクソソーム療法を統合的に組み合わせた治療を提供しています。カウンセリングでは、治療の法的な位置づけやリスクについても丁寧にご説明いたしますので、不安や疑問を抱えたまま治療に臨む心配はありません。

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