TOP上利院長の気ままにRecipe腫瘍微小環境代謝が築く免疫の壁

腫瘍微小環境代謝が築く免疫の壁

こんにちは あがりです

お盆週間 いかがお過ごしでしょうか

 

さて、堅いお話の続きです

 

がん細胞は、周囲を自分に都合のいい環境に変化させて

物理的な壁でもって

居心地のいい状況を作り 増殖・転移していくとお伝えしました

 

さらに この特殊な物理的な壁によって

特殊な代謝環境が構築されます

これも、大きく強固なバリケードになります

免疫を妨げるバリケードです

 

  1. 低酸素とHIF-1α(低酸素誘導因子)

    腫瘍が急速に拡大すること

    欠陥のある異常新生血管がはりめぐらされること

    この2点で 腫瘍内部は深刻な低酸素状態に陥ります

    (低酸素ハイポキシア領域の出現)

     

    低酸素ストレスに耐えるために がん細胞では

    HIF-1α低酸素誘導因子が過剰に働きます

    HIF-1αは、免疫を抑制させる働きを持つPD-L1を増やすことで

    免疫逃避をどんどん進めていきます

     

    さらにWarburg効果という、糖を使う代謝系を異常に高めていきます

    細胞内代謝が再構成されます

     

      この過程で乳酸が異常に蓄積し、腫瘍内・腫瘍微小環境は強い酸性に傾きます

     

    強い乳酸は、NK細胞の働きを抑える方向に働きます

      IL-8やVEGF(血管内皮細胞増殖因子)を増やして血管新生を促進、IL-6(炎症)を煽ります

  2. アデノシン経路(CD39/CD73)

    アデノシン経路と言われる、

    細胞外ATPからアデノシンを作り出す代謝経路が注目されています

     

    がん腫瘍内部では、低酸素・栄養不足・細胞ストレスなどから、

    ATPが大量に放出されます

     

    本来であれば、「細胞の危険信号」として免疫が働き始めるところですが

    がんが支配する腫瘍微小環境では、酵素CD39 CD73が大量に出現し

    アデノシンが産生されます

     

    アデノシンは

    T細胞・樹状細胞・NK細胞などに作用して

    最終的に免疫抑制の方向へ強く誘導することが分かっています

 

このように、

がん細胞が存在して

がんが増大する過程で起こる反応が

 

結果的に

がん細胞が存在しやすい

がん細胞が増殖しやすい

免疫寛容・免疫抑制の方向へと導いていきます

 

がんを取り巻く 腫瘍微小環境を標的とした治療戦略が必要です

 

**免疫抑制的な腫瘍微小環境を作り替え、免疫細胞が入り込める環境へ

**物理的なバリアを壊す

**寝返ったマクロファージを再教育する**アデノシン経路を絶つ

など、組み合わせながら戦略を練っていくことが必要です

腫瘍微小環境の模式図

あがりまさよ 記事一覧へ

当クリニックは完全予約制です。
ご予約は前日までにお願いいたします。当日予約をご希望の場合は、お電話にてご相談下さい。また、ご予約後のキャンセル・変更は早目にお知らせ下さい。

※予約の状況により、ご希望に添えない場合もございます。何卒ご了承くださいませ。